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機体導入QandA

Q.国内でヘリポートを臨時に確保したり、新規に造営するためのポイントを教えて下さい。

Q.水上ヘリコプター(フロート付)を導入する上でのメリットを教えて下さい。

Q.自社で導入した自家用航空機について、自社で使っていないとき、収益を得ることを目的として、第三者に貸す(リース・レンタル)ことはできますか?


Q.国内でヘリポートを臨時に確保したり、新規に造営するためのポイントを教えて下さい。


A.アメリカなどではヘリコプターは飛行機と違って最低飛行高度などの制限を含め、事実上どこで離着陸を行っても航空法上の規制は一切受けません。 全てを地域社会のルールとパイロット自身の判断に委ねるという驚くべき(??)方式を採っています。 ナイトクルージングで大都会のビルの谷間をすり抜けて行くのももちろんOK、広い庭のある友人の家をヘリコプターで訪問するのも、少なくとも航空法上は完全に自由です。
※もちろん民事上のトラブル、例えば牧場に着陸したら「乳牛の乳が出なくなった!」と訴えられる可能性はありますが…。 それにしてもアメリカとは何という「自己責任」重視の国でしょう!

これに対し、日本ではその最低飛行高度(例えば人家の密集した地域の上空では半径600mの範囲の最も高い障害物の高さにさらに300mの高度を加えた高度)や離着陸の場所に関し、ヘリコプターも飛行機と同様、航空法上の厳格な規制を受けます。 一般に「ヘリコプターの離着陸場」の意として使われる「ヘリポート」という広義の用語はまず大きく分けて、航空局(国土交通大臣)から正規に認可を受けた「ヘリポート(陸上ヘリポートと水上ヘリポート、及び公共用ヘリポートと非公共用ヘリポートとに各々分類されます。)」と、「飛行場外離着陸場(一般に「臨着」と呼ばれ、仮設専用タイプのものと、一般施設と兼用の「臨時ヘリストップ」とに分類されます。 ちなみに「飛行場外離着陸場」の場合は原則的に「ヘリポート」とは呼びません。)」の2種類があります。 これらを人家の密集地に設けることは騒音や安全上の観点から困難ですが、その周囲にヘリコプターの離着陸に支障をきたすような障害物がない30〜40m四方程度の開けた空き地(「進入表面」といって離・着陸方向に1/8の勾配面より上に障害物がないこと、及び「転移表面」といって離着陸方向の真横方向に1/2の勾配面より上に障害物がないことなどの条件を満たしている必要があります。)があれば、たとえ駐車場であっても「飛行場外離着陸場」として利用することができます。 航空局からその使用に係る許可を受けるには、まず土地所有者の承諾を得ることと共に、事前調査を含めて手続きに通常1〜2週間を要します(但し、既にヘリコプターの運用実績がある場合などには短縮できることがあります。)。

一方、正規の「ヘリポート」を造営するには、それが公共用か非公共用かに関わらず、航空法で定める「飛行場設置」の申請手続きが必要となり、認可が下りるまでには時に何年もかかることがあります(要するにこの場合は「空港の開港」と同じことを意味します。)。 ヘリポート設置者からその申請がなされると国土交通大臣はまずその審査にあたって公聴会を開き、利害関係人(関係区域の住民・関係団体・漁業権者など)に意見を述べる機会を与えることが航空法で定められています。

また、正規の「ヘリポート」ではこれとは別に、東京都や大阪府はじめ全国各地の自治体で自然環境の保護を目的として制度化されている「環境アセスメント」の手続きも併せて踏まなければなりません。 これはヘリポート設置者が、公聴会などを経て騒音・振動・電波障害などの項目に関する評価を加えた上で「環境影響評価書案」を作成、これを自治体に提出して審査を受けるものです。 しかしながらこのようなプロセスの如何に関わらず、正規の「ヘリポート」としての認可が下りるまでに「飛行場外離着陸場」として臨時の手配を行い、実際の運用を開始すること自体は可能、かつ正式な認可取得へ向けての実績づくりの上でも必要な手順であるということがいえます。

特にビル建設の際、屋上にヘリポートを造営するには、緊急着陸方式(※)、施設の強度、防災(航空機・人員の脱落防止、防火、救難対策など)、その他の直接的な問題のほか、大気汚染、騒音、低周波空気振動、電波障害、風害などの要因に係る周辺住民の合意を得ることなど、環境上の観点からも充分な時間と計画性をもって、関係官庁などとも念入りに調整を進めていく必要があります。 既存のビルに新たにヘリポートを造営するような場合はさらに困難が伴うことが考えられます。
※離着陸時、万一機体にトラブルを生じても安全に着陸できる場所が確保できるかどうかは重要な問題です。 但し、エンジンを複数装備した機種のヘリコプターを運航する場合はその検討が免除されることがあります。

ちなみに統計によると、自治体などが保有するヘリポートの広さは1.5ヘクタール(1ヘクタールは10,000平方m)前後のものが多く、その平均的な事業費(土地収用、格納庫建設、諸手続き費用などを含む。)は特別なものを除き、1〜5億円程度となっています。

アークEFIでは、これら臨時の発着場申請に係る調査・手続き業務のほか、正規のヘリポートや飛行場の造営に向けての各種サポートをお取り扱いいたしております。 もしそうしたご構想をお持ちの方は、より現実的でスムーズな調整作業のためにも、計画段階のできるだけ早期に、ぜひお気軽にお問い合わせ下さい。


●国内ヘリポートデータ

ヘリポート名 設置場所 面 積 供用開始年月 総事業費
富山福岡ヘリポート 富山県西砺波郡福岡町 0.9ha 2001年8月 約12億円(河川防災ステーション総事業費)
つくばヘリポート 茨城県つくば市 1.4ha 1991年6月 約 3億円
静岡ヘリポート 静岡県静岡市 2.2ha 1991年6月 約28億円
占冠ヘリポート 北海道占冠町 1.2ha 1991年4月 約 1億円
若狭ヘリポート 福井県小浜市 1.5ha 1991年3月 約 4億円
佐伯ヘリポート 大分県佐伯市 3.8ha 1990年6月 約 5億円
栃木ヘリポート 栃木県芳賀郡芳賀町 3.8ha 1990年6月 約15億円
足寄ヘリポート 北海道足寄町 1.4ha 1990年4月 約 1億円
播磨ヘリポート 兵庫県赤穂郡上郡町 1.3ha 1989年11月 約 3億円


<資料参照:地球社刊「ヘリコプターQ&A」他>



Q.水上ヘリコプター(フロート付)を導入する上でのメリットを教えて下さい。


A.ヘリポートは何も陸上に設けるべきものばかりとは限りません。 参考事例としてはニューヨーク地区で実際に運用されている水上ヘリポートのケースがあります。 ここではヘリコプターによる都市部での旅客輸送を可能にするために、河川の水面に「ヘリポート(ランディング/テイクオフスポット)」が存在するものと想定し(これを「仮想表面」といいます。)、そこを中心に、川に沿ってヘリコプターの離着陸を実施するようにしています。 そしてこれに隣接するヘリポート(陸上)を単に「駐機・乗降施設」としてのみ利用するというわけです。 出発するときはこの「乗降施設」からホバリング(タキシング)で水上の「仮想表面」へ移動してそこから離陸(離水?)するようにし、また、着陸するときは「仮想表面」にアプローチをかけてその上でホバリングに移行、そこから「乗降施設」へタキシングするようにします。 特筆すべきこととして、そこで使用されているヘリコプターはほぼすべてが陸上ヘリ(降着装置としてタイヤまたはスキッドを装備し、フロートが装備されていないタイプ)である! ということなのです。

この方法は飛行コース直下に人家などがないので安全、かつ騒音問題も少なく、とりわけ湖沼・河川の多い日本にとって最適の方法であるといえますが、日本ではフロートを装備した水上ヘリに限ってそうした運用形態が合法とされ、したがってそこがたとえ臨時の発着地点であっても「飛行場外離着陸場」に係る申請手続きが不要(但し、その水域・土地の管理者との事前の折衝自体はもちろん必要。)という画期的なメリットが受けられるのです。 そしてこのことは、同じヘリのライセンスを取得するならまず水上ヘリで! という私どものそうした関係方面へのご指導上の根拠の一つになっています。(現行の規定上、幸運なことに「水上ヘリ」の限定を申請すれば、書類手続きだけで、同時に「陸上ヘリ」の限定も取得してしまうことが可能です。)
※アークEFIでは、徹底的に航空法の吟味検討を加えた上で、実は陸上ヘリの場合であっても、原理的にこの「仮想表面」の考え方による離着陸方式であれば、アメリカの場合と同様、航空法上の問題は生じないものとの結論に達しています。 しかし、以前この件を改めて航空局に打診したところ、「水上ヘリでない限り、そうした離着陸方法を採ることは合法とはいえない。」との指摘を受けました。 理由は「陸上ヘリにはそもそも水面での離着陸自体を想定できない。」という、一見当然といえば当然のような回答なのですが、実際にはたとえ水上ヘリの場合であっても、「水に浮かせる」こと自体がその通常の運用方法として想定されているわけではけっしてなく、ここでご提案したような「仮想表面」的な方式か、もしくは陸上ヘリの場合と同様に、直接陸地(空港やヘリポートなど)での発着を行っているのです。 すなわち、本来「水上ヘリ」とは、むしろ「より汎用的に使える陸上ヘリ」と考えられるべきものであって、したがってアメリカなどではヘリコプターに限って「水上/陸上」の限定変更それ自体が存在しません。(そのため、海外でのトレーニングを通じ、これを日本の「水上ヘリ限定」として書き替えるには、海外での実技試験において「R22マリナー」などの機材を使用し、これに合格したことの証明が必要となります。)

日本の航空局は「離着陸中にもしエンジントラブルなどが発生したら…」というようなことを懸念材料の一つとしているのでしょうが、少しでもヘリのトレーニングを経験した人ならおわかりのように、水域上空でのエマージェンシーに対しては、常に最寄りの陸地へのオートローテーションを想定したコース取りをすることが常識であり、これは水上ヘリのエマージェンシーであっても同様で、わざわざ後で「引き揚げ作業」が必要となるような水上への着陸を敢行することは、トレーニング上はともかく、通常はまず考えないものです。 すなわち、陸上ヘリも水上ヘリも、基本的な運用形態自体にほとんど差はないのであり、よって陸上ヘリが水上の「仮想表面」に向かってアプローチをかけ、「着陸」を完了した後に「接岸」のためのタキシングを行って最寄りの陸地で停止、乗客を乗降させる、というような場合、前述の「飛行場外離着陸場」申請は原理的に不要であるという考えです。 後でもし航空局との間で裁判になったとしてもまず勝ちますが、ストレスが大きいので今の時点ではおやめになられた方が宜しいかと…。(洋上の真っ只中を巡航するような場合は航空法上フロートかまたは緊急時にポップアウトするタイプのフロートギアを装着している必要がありますので念のため。)


Q.自社で導入した自家用航空機について、自社で使っていないとき、収益を得ることを目的として、第三者に貸す(リース・レンタル)ことはできますか?


A.もちろん可能です。 航空機は動産ですが、登記、登録、抵当権などの取り扱いについては不動産に準じて行われるため(但し、もし航空機が税法上の「差押え」となる場合は個別に特例要件あり。)、基本的には自己所有の分譲マンションを他人に貸すのと同じようなパターンです。 「リース」の場合は主に財テク目的の導入・所有であって、対象としては長期契約の法人の顧客向け、「レンタル」の場合は一時契約の個人の顧客向けとなるケースが大半であるものと考えられます。 当該物件に係る公租公課(固定資産税など。 条件によって変動費を含む場合は着陸料、航空援助施設利用料、航空機燃料税など)、減価償却費(新機5年/中古機2年 ※大型機の場合8〜10年ほか)、保険料、維持管理費、格納料、人件費などを必要経費として考慮に入れ、これらを売り上げ収入(リース・レンタル料)から差し引いた金額が源泉所得となります。

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